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沖縄島北部の砕波帯における稚仔魚調査
*田端重夫(いであ(株)),武井直行((有)鴻洋),桜井 雄(沖縄環境調査(株))


  沖縄島の砕波帯における稚仔魚に関する知見は,本土における研究に比べて非常に少ない。本研究では,知見の集積を図ることを目的として,本部半島から辺戸岬を回り大浦湾に至る沿岸域の7〜8カ所において,2005年5月から2007年3月までの2カ年原則的に月1回のペースで,砕波帯ネット(網口5m,袋網口1×1m,袋網長5m,袋網目334μm)を用いて砕波帯を曳網し,稚仔魚を採集した。
 初年度は奥川河口から古宇利大橋屋我地島側袂に至る西海岸の主に河口付近で,2年度は奥川河口から大浦川河口に至る東海岸において調査を実施したため,年次の比較はできないが,季節的な出現状況と長期に出現する種の成長に関する若干の知見を得ることができた。
 沖縄島北部における砕波帯において,稚仔魚は3月から6月の春季に多く,12,1月の冬季に少ない傾向がみられた。春季の主な出現種はミナミキビナゴ,サバヒーであった。採集場所別にみると,辺野喜河口,大浦河口でまとまって採集されることが比較的多かった。採集時間でみると,干潮及び上げ潮時は満潮から下げ潮時に比べて比較的少なかったが,波浪や河川水の影響等その他の要因との関係を精査する必要がある。本土における研究では,多くの水産有用種が稚仔魚期に砕波帯を利用していることが知られているが,本調査期間においては,ミナミクロダイが奥川河口や楚州において2月から4月に目立つ程度であった。