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八重山列島周辺海域で漁獲されるミンサーフエフキとアミフエフキの生物学的特徴
*木曾克裕・加藤雅也・栗原健夫・小菅丈治(西海区水研石垣)


 

目的:ミンサーフエフキとアミフエフキは近年まで同一種として扱われていたため,八重山列島周辺水域で比較的多く漁獲されている種であるにもかかわらず形態的・生態的情報が混同されていた。水産資源として両種を適切に管理するためには,種を明確に区別するとともに,種ごとの生態的な特徴を明らかにする必要がある。そこで,この2種の生物学的特徴を比較した。

方法:2001年4月から2006年12月に石垣島の魚市場において,八重山列島周辺水域で漁獲されたミンサーフエフキとアミフエフキ合計2340個体の尾叉長を測定し,取り扱い尾数,重量,漁業種を記録した。また同市場で2種合計266個体を標本として収集した。これらの尾叉長FLと体重BWを計測した後,解剖して生殖腺を取り出し,肉眼による雌雄の判別と成熟状態の観察および生殖腺重GWの秤量,消化管内容物の査定・計数を行った。これらの資料によって2種についてFLとBWの関係,尾叉長組成,漁業種別漁獲量,生殖腺熟度指数GSIの季節変化,成長に伴う食物の変化を整理し,種間の比較を行った。

結果:両種ともほぼ周年にわたって漁獲された。アミフエフキは未成魚から成魚まで主に10m以浅の海域で漁獲されるのに対し,ミンサーフエフキでは未成魚はアミフエフキと同様に10m以浅で漁獲され,成長に伴って礁斜面を中心に漁獲されるようになり,成魚は100m以深で操業する一本釣りでも漁獲されていた。両種の特徴を比較すると同一体長ではFL-BW関係に大きな差は見られなかったものの,最大尾叉長と成熟体長はミンサーフエフキが大きく,GSIの季節変化は両種でずれていた。消化管内容物には両種とも短尾類が最も多く出現し,砂底に生息するブンブクチャガマ類,シャコ類なども見られた。